2013年05月01日

こゝろ改版 夏目漱石 角川文庫 (ショップ:楽天ブックス)

【送料無料】こゝろ改版 [ 夏目漱石 ]

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■青空文庫から『こころ』を一部抜粋
 私はどこでも構わなかった。ただ先生を伴(つ)れて郊外へ出たかった。
 一時間の後(のち)、先生と私は目的どおり市を離れて、村とも町とも区別の付かない静かな所を宛(あて)もなく歩いた。私はかなめの垣から若い柔らかい葉を※(「てへん+劣」、第3水準1-84-77)(も)ぎ取って芝笛(しばぶえ)を鳴らした。ある鹿児島人(かごしまじん)を友達にもって、その人の真似(まね)をしつつ自然に習い覚えた私は、この芝笛というものを鳴らす事が上手であった。私が得意にそれを吹きつづけると、先生は知らん顔をしてよそを向いて歩いた。
 やがて若葉に鎖(と)ざされたように蓊欝(こんもり)した小高い一構(ひとかま)えの下に細い路(みち)が開(ひら)けた。門の柱に打ち付けた標札に何々園とあるので、その個人の邸宅でない事がすぐ知れた。先生はだらだら上(のぼ)りになっている入口を眺(なが)めて、「はいってみようか」といった。私はすぐ「植木屋ですね」と答えた。
 植込(うえこみ)の中を一(ひと)うねりして奥へ上(のぼ)ると左側に家(うち)があった。明け放った障子(しょうじ)の内はがらんとして人の影も見えなかった。ただ軒先(のきさき)に据えた大きな鉢の中に飼ってある金魚が動いていた。
「静かだね。断わらずにはいっても構わないだろうか」
「構わないでしょう」


■『こころ』などの著作権が切れている作品は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)でも読むことができます。


タグ:夏目漱石
posted by 47735 at 02:47| 小説 | 更新情報をチェックする
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